3.妊娠したら
妊娠の項目にも軽く触れておりますが妊娠すると、妊娠した女性もそのパートナーも大きく変わらざるを得ない
状況になります。
また、子どもが生まれるまでに心の準備をしておくことも必要です。
■ 妊娠後の基礎知識 ■
▼今、妊娠何ヶ月?
案外知られていないのですが、妊娠周数の数え方は、「最終月経の日から数えます」。
最後にHしてから2週間後には妊娠2ヶ月ということもありえます。
時折、女性の方でもこのことを知らない方がいるようです。
妊娠しているのが分かったら、出産予定日を確認しておきましょう。
出産予定日は280日後、最終月経の初日の月から3を引き(引けないときは9を足して)、
日に7を足して計算できます。
▼妊娠検査
現在の判定約は高精度で、妊娠2ヶ月になれば陽性に出ます。この結果はほぼ信用できます。
もし、この時は陰性であったとしても、生理が来なければ(無月経が続けば)、再検査する必要があります。
(なお、想像妊娠の場合は妊娠特有のつわりなどの症状は出ますが、検査薬に陽性反応は出ません)
なぜ妊娠しているのが分かるのかと言うと、妊娠しなければ作られないhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
という妊娠ホルモンが尿の中から検出されるからです。
▼妊娠中の女性のカラダの変化
妊娠周期によって女性の身体はめまぐるしく変化します。
当然、妊娠していない時と同じように生活は出来ません。いつもと同じでないことを理解しましょう。
外見はお腹が少しずつ大きくなっていくだけのように見えますが、体内では基礎体温の変化を始め、食欲の減退・増加、
つわりや精神不安定、足のむくみや、動悸息切れを起こしやすくなったりします。
パートナーはそれを優しく包み込み、支えてあげましょう。
▼理想の体重は?
胎児が成長していくと、当然のごとくその母体の体重が増えていきます。
しかし、体重は増えすぎると妊娠中毒症のリスクも高くなり、骨盤や産道のまわりにも脂肪がつき「難産」に
なる心配もあります。
必要な栄養分を十分に摂りつつも、太り過ぎないように自己管理が必要です。
妊娠中に上手く体重がコントロールが出来れば、産後は理想のプロポーションになることも可能です。
一般的には妊娠中の体重増加は7〜10s程度におさえるのが理想と言われていますが、これは標準体重の方の場合で、
痩せている方や、そうでない方はまた違います。
現在は体格指数(BMI)の数値を元に出産までの体重増加上限を割り出しています。
体重(s)÷身長(m)の2乗
例 身長158p、体重55sの人場合
55÷(1.58×1.58)=22.03
この計算の結果、18未満の人は10〜12s、18〜25の人は7〜10s、25以上の人は5〜7sが目安と
なります。
▼体重増加・変化する下着
妊娠中は新陳代謝が活発になり、皮膚も敏感になります。下着は通気性・吸汗性のよい綿100%がいいです。
ここでは妊娠した女性がどのような下着を付けるかということを説明します。
妊娠初期・中期〜後期・入院前でそれぞれ違います。(そして産後も少し違う)
・ブラジャー
妊娠してから出産までの間に、女性のバストカップはおおよそ2カップ、アンダーバストは1カップ大きくなります。
それに合わせてブラ、妊婦用のブラがあります。
妊婦用のブラは大抵がバストの成長を妨げないように柔らかく、伸縮性に富んでおり、アンダーバストの変化に
対応できるようになっています。
また、授乳を考えたものにあるようです。
・ショーツ
妊娠してからは特に腹部を冷えなどから守ることが大切になります。
素材の質としたはよく伸びる素材を利用していることが多く、初期から出産前まで使えます。
普通のショーツと違い、腹部までをすっぽりと包み込むような感じになっています。
▼日常生活のポイント
現代の主婦にはあれもこれも禁止ということは言われなくなりました。
人によっては車の運転など、妊娠中であっても避けられない行動が沢山あります。
「やりなれていることを8割程度に」を基本に、アクティブに生活するのが充実した生活につながります。
・避けておきたいもの
ただし、妊娠中は避けておきたいものがいくつかあります。
1)タバコ
タバコは吸うと身体の中にニコチンや、一酸化炭素などが体内にはいります。
これらは子宮や胎盤の血液を収縮させたり、血液中の酸素量を減らす作用があるので、胎児を酸素不足にし、
成長を妨げる要因になります。
2)アルコール
アルコールは胎盤をそのまま通過し、胎児に吸収されてしまいます。
たまに多少たしなむ程度なら問題ありませんが、習慣的になったり、つい飲みすぎたりしないようにすること。
これは胎児性アルコール症候群にかかる危険性があるからです。
3)カフェイン
カフェインを多く含むコーヒーや、紅茶、緑茶は1日に1〜2杯程度に。
血管を収縮させ、血流を悪くします。
代わりに、カフェインの含まれていない麦茶や番茶を飲んでみてはどうでしょうか。
4)化粧やパーマ
妊娠中は肌が敏感になっているので、香りなどの刺激が強い化粧品は避けたほうが無難です。
パーマがいけないと言われるのは、「長時間同じ姿勢でいること」で気分を悪くすることがあるからです。
・適度な運動
妊娠中でも適度な運動をすると、心身ともに爽快になり、安産にもつながります。
旅行などもいいですが、無理のないスケジュールで、ゆとりをもって出掛けて下さい。
妊産婦体操(妊婦体操)なるものがあり、それを行うことで妊娠に対する様々な弊害を取り除くことが出来ます。
・妊娠中毒症
妊娠中毒症とは妊娠が原因で起こる様々な症状で、妊娠が終わると回復します。
大きな症状は「むくみ」「高血圧」「たんぱく尿」の3つです。
まずは妊娠中毒症を予防すること、そしてもしなってしまったら悪化を防ぐことが重要です。
▼妊娠中のセックス
妊娠中のセックスは心の交流です。セックス自体が危険ということはありません。
きちんとした方法でセックスを行うことにより、よりパートナーとの絆が深まり、相手の安心感を与えることが出来ます。
しかし、妊娠前と同じようにセックスをするのは実はとても危険なことなのです。
これからセックスが妊娠経過に及ぼす影響を説明しますが、一番の問題点は流産と早産の関係です。
セックスに対する意識は妊娠中は特に男女で大きく異なります。
セックスに対する制限があるためにかえって相互理解を深めるには重要な時期と言えるでしょう。
・予備知識
子宮は子宮筋すなわち平滑筋と呼ばれる筋肉組織によって構成されています。
この子宮筋が収縮することを「おなかが張る」と呼んでいます。
その収縮の程度によって激しい痛みの場合から重い感じがする程度の場合まであります。
早産のサインの一つですが、軽度のお腹の張りは誰でも感じるものです。
正常範囲内のお腹の張りは、子宮筋の収縮が不規則であり、収縮時間が短く、収縮の強さも軽度です。
ちょっと安静にすれば収縮が消失する程度ならば正常範囲と考えられます。
陣痛とは、不随意に、周期的に反復して起こる子宮(体)筋の収縮で、胎児を娩出する原動力です。
お腹の張りが強い場合には陣痛の前ぶれ、あるいは陣痛そのものであり、早産の危険信号と考えられます。
この子宮収縮と密接に関係ある化学物質として下垂体後葉から分泌されるホルモンである
「オキシトシン」があります。
すなわち、何等かの理由でオキシトシンが分泌されると子宮収縮は誘発、促進されます。
・オキシトシンとは
オキシトシンの生理作用には、子宮筋の収縮作用と授乳時の乳汁射出作用があります。
オキシトシンは子宮の周期的な収縮を起こす作用があり、分娩時には重要な役割をはたしています。
授乳時に分泌されるオキシトシンは乳腺の筋上皮細胞に作用し、これを収縮させて乳腺に溜まっている乳汁を押し出して
母乳を出します。オキシトシンの分泌がないと赤ちゃんは十分に母乳を得ることは出来ません。
・オキシトシンの発生
オキシトシンはどうやったら発生するか、それは乳首への吸引刺激によるところが大きいが、それだけではない。
妊娠中の性行為であっても、セックスパートナーの乳頭刺激においても全く同じ様に反応します。
つまり、『過度の乳頭刺激はオキシトシンを分泌させ、子宮収縮を誘発、流産・早産の危険性を高めます』
さらに、『セックスにおいて男性器による膣や子宮膣部(膣の最奥部に接する子宮の入り口部分)が圧迫される』と、
分娩時の胎児が出て行く時と同じ状態を引き起こし、これも流産・早産を引き起こす可能性を高めます。
・セックスの方法
セックスがおなかの中の赤ちゃんに、悪い影響を与えるようなことはありません。
むしろ、母が気持ちよくなれば、胎児も「気持ちいい」と感じることでしょう。
臨月に入って、胎児が骨盤の中に降りてくる前までは、胎児は子宮の中の羊水に守られながら、
位置も高いところにいます。
胎児が骨盤の中に頭を入れると、子宮口も下がってきて、柔らかくなってきています。
深く挿入すると、オチンチンの先の壁が、いつもより近い感じがするかもしれません。
刺激しないように挿入を浅めにしましょう。
女性がオーガズムを感じると、子宮が収縮しますが、セックスのあとにおなかが張ることはよくあることです。
たいていは数分でおさまるので、静かに様子をみてみましょう。
彼女にも、おなかが固くなる感じ、それが治まっていく感じをからだで味わってみるように、言ってみましょう。
女性のからだは、妊娠中はいつもより敏感になり、いつもと違う感覚を得られるという人もいます。
からだをなでられたり、キスをされたりする感覚も、ふだんよりとても気持ちよく感じるかもしれません。
体位としてはパートナーの身体にドッカリ体重をかける体位は避けること。
男性が上になるときには、両腕で自分のからだを支えて、おなかに負担がかからないようにする。
そのほか、パートナーが上になったり、横になったりする体位はおなかに負担が掛かりません。
バイブなどを挿入するのは衛生上よろしくありません。
また挿入する時はコンドームをつけ、精液を膣内に出さいようにしましょう。
・セックスしていい時期は?
妊娠初期は体内が不安定のため、流産を起こしやすい時期です。
その為、しないにこしたことはありませんが、結合を浅くし、時間を短くして、回数を減らすのが原則です。
妊娠中期は胎盤も完成するため、流産の危機も脱出します。
妊娠16週以降を俗に安定期と呼ばれ、異常の発生率は明らかに下がります。
極端に神経を使う必要はありませんが、激しいセックスは避けるべきです。
異常を感じたらすぐにセックスを中断しましょう。
妊娠後期はお腹が大きくなり、何かにつけて苦しい状態になります。
日常生活すら苦しくなるため、体位の工夫が必要になりますが、特に妊娠10ヶ月以降はセックスを
避けるべきです。
▼妊娠中のセックスのまとめ
1)挿入は浅く、短時間ですませる。
大きくなった腹部を圧迫しないような体位も工夫し、時には性器外セックスも利用する。
2)極端な乳頭刺激は避ける。
3)オルガズム(絶頂を迎えること)はほどほどにする。
4)精液中に含まれる子宮収縮物質の除去のためにコンドームを使用して膣内に射精しない。
これは、性感染症の予防にも役立ち、さらには絨毛膜羊膜炎の防止にも役立つ。
5)性行為自体による感染を防止するために、清潔に心掛ける。
6)激しい性行為は性交損傷をきたしやすいので注意を要する。
これらを守っていれば安全なセックスであると思われます。
ですが、パートナーが乗り気ではない時は相手の意見に耳を傾けましょう。
妊娠する前と妊娠最中では精神的な部分も大きく違うのですから。
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